不整脈:右脚ブロックと左脚ブロック
右脚ブロック、左脚ブロックって何?
心臓の後方にある房室結節から、左心室と右心室への電気信号の伝わる道筋は以下の通りです。
房室結節から続く1本の線維の束(ヒス束、長さは約10mm)が、心室中隔(左心室と右心室の間にある壁)の頂上部を前方に進んでいきます。その間、心室中隔の左心室側ではヒス束から少しずつ枝分かれした左脚が、帯のように幅を持った構造を示します。左脚が分岐し終わった後の糸ほどの太さの線維の束が右脚で、心室中隔の右心室側を下っていきます。
電気信号が右脚あるいは左脚を伝わりにくくなった状態が、それぞれ右脚ブロックと左脚ブロックといいます。
左の図は心臓を展開して心室中隔を右心室側から見た図、右は左心室側から見た図です。房室結節・ヒス束・右脚(赤で示す)が心室中隔の右心室側(左図)を走行しています。その裏側の左心室側(右図)では、左脚(赤で示す)がヒス束から帯状に少しずつ分岐し網状に拡がっています。
上の図は心臓を展開して心室中隔を右心室側から見た図、下は左心室側から見た図です。房室結節・ヒス束・右脚(赤で示す)が心室中隔の右心室側(上)を走行しています。その裏側の左心室側(下)では、左脚(赤で示す)がヒス束から帯状に少しずつ分岐し網状に拡がっています。
右脚ブロック
右脚と左脚の構造の違い(左脚は帯状で幅があり、右脚は糸のように細い)から想像できるように、左脚ブロックよりも右脚ブロックの方が多いです。
右脚ブロックも左脚ブロックも症状がないので、健康診断時の心電図で見つかることが多いです。右脚ブロックは健康な人の2~3%で認められ、男性に多く年齢とともに見つかる頻度は増します。
右脚ブロックは心臓病が原因で起こることはまずないので、治療や定期的な経過観察が必要になることはほとんどありません。
左脚ブロック
左脚ブロックは、右脚ブロックと違って、何らかの心臓病が原因であることが少なくありません。しかも、傷害された範囲が広範な重症の心臓病がみつかることもあります。
左脚ブロックが見つかった時には、心臓の検査を受けることを強くお勧めしたいです。
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