福岡県太宰府市の丸山医院(内科・消化器科・循環器科・リハビリテーション科)

2020-12-12

高脂血症(高コレステロール血症)/脂質異常症

コレステロールにはネガティブなイメージが付きまといますが、生体が正常に機能するために必要不可欠な脂質です。コレステロールは、タンパク質やリン脂質とともに体を構成する全ての細胞の細胞膜に含まれており、必須の構成成分です。

そのほか、男性ホルモン・女性ホルモンや糖質コルチコイドなどのステロイドホルモンの原料として、また脂肪の消化・吸収に必要な胆汁酸の原料としても重要です。

「コレステロールは食事から摂る」というイメージが強いのですが、必要量の大半は肝臓で合成されており(1日あたり約1~1.5g)、食事からの摂取量(1日あたり約0.3~0.5g)は必要量の約3分の1にすぎません。肝臓でつくられたコレステロールは血液によって全身に運ばれ、余分なコレステロールは血液を介して肝臓に戻ってきます。

LDL-コレステロールとHDL-コレステロール

コレステロールには、LDL-コレステロールとHDL-コレステロールがあります。

LDL-コレステロールは、コレステロールを肝臓から全身の細胞に運ぶ働きをします。細胞内に運び込まれたコレステロールが過剰になり血管壁に蓄積すると動脈硬化が進行するので、LDL-コレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれます。

一方、HDLコレステロールは、細胞内の余分なコレステロールを抜き取り肝臓に回収する働きがあるので、「善玉コレステロール」と呼ばれています。

コレステロール

高脂血症には、高コレステロール血症(LDLコレステロール>140mg/dl)と高トリグリセライド血症(中性脂肪>150mg/dl)があります。最近では、これら2つ高脂血症に低HDLコレステロール血症(<40mg/dl)を加えて脂質異常症と呼ぶようになりました。

国内外の疫学調査の結果を見てみると、LDLコレステロール、総コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)が高いほど、またHDLコレステロールが低いほど動脈硬化によって起こる病気の発生率が高くなることが分かっています。

高コレステロール血症

正確には、高LDLコレステロール血症のことです。LDLコレステロール値が高いと、心筋梗塞・狭心症や脳梗塞のリスクが高くなります。心筋梗塞や脳梗塞は、心臓や脳を栄養している血管(動脈)の内のりが動脈硬化のために細くなったり、血栓ができて内腔が詰まることにより起こる病気です(下の図をご参照ください)。

動脈硬化のイラスト
動脈硬化のイラスト

①は正常。
② → ④となるほど動脈硬化の進行がより高度。

出典 インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス
(制作:株式会社協和企画、2013年9月発行)

動脈が詰まると血液が流れなくなるので、酸素や栄養が心臓や脳に行き渡らなくなります。その結果、心臓の心筋細胞や脳の神経細胞が壊死してしまい様々な障害を生じ、場合によっては命に関わる事態になります。

狭心症も同様に心臓の血管(冠動脈といいます)の動脈硬化が原因ですが、心筋梗塞では冠動脈の血流がほぼ完全に途絶えた状態であるのに対し、狭心症では血流がまだ少し残っている状態です。狭心症や心筋梗塞は、心臓を栄養している冠動脈に原因があるため、冠動脈疾患と呼ばれています。

コレステロール値が高くなる原因には、体質(家族性・遺伝性)、脂肪の多い食事(食生活の欧米化)、運動不足などがあり、男性は40~50歳くらいから、女性は閉経後から高くなることが多いです。

高トリグリセライド(中性脂肪)血症

「食べすぎ」、とくに高カロリー食品(甘いものや脂肪分の多い肉類など)の摂り過ぎによる慢性的なカロリー過多が第一の原因です。

高カロリーな食事

お酒の飲みすぎでも、中性脂肪が増えることが少なくありません。糖尿病に合併することも多いのですが、その場合は血糖のコントロールが良くなると(糖尿病がよくなると)中性脂肪も下がります。

低HDLコレステロール血症

HDLコレステロールが下がる原因には、運動不足、肥満、喫煙などがあります。禁煙や有酸素運動(高血圧症の項をご参照ください)を継続して行うことによりHDLコレステロールは増加しますが、上昇幅は5〜10mg/dlほどと小さいです。低下したHDLコレステロールを効果的に上昇させる薬は、今のところありません。

脂質異常症では、食事の見直しが重要です!

数年前までは「卵は1日1個まで」などと、高コレステロール血症の対策として「コレステロールが豊富な卵を摂り過ぎないように!」と言われていました。しかし近年、コレステロール摂取量と血清コレステロール値との関係は一定ではないことがわかってきました。

確かに、高コレステロール食(600mg /日)は、低コレステロール食(200mg /日)に比べてLDLコレステロール値を上昇させます。他方、週に1個しか卵を食べない人より週に3個以上食べる人の方がむしろLDLコレステロール値が低かったというデータもあります。これは、コレステロールを多くとると、肝臓での合成と腸からの吸収がしっかりと抑制されるためと考えられています。

では、どうしたらいいのでしょうか。

LDLコレステロールを減らすには、1日エネルギー摂取量を制限して適正な体重を維持すること、肥満がある場合には体重を減らすことが有効です。LDLコレステロールを減らしHDLコレステロールを増やすには、食事の内容を見直すことも重要です。

動物性脂肪が多い肉類を減らして、魚介類や大豆製品を多めに摂るのがお勧めです。脂肪分はカロリーが高いので、油を使った料理(天ぷら・フライ・炒めもの)は控えた方がよいでしょう。

お菓子・ジュース類の摂り過ぎや、夜遅くの食事、休肝日なしの飲酒習慣、スナック菓子の「ながら食い(例えば、テレビを見ながら…)」なども禁物です。

一方、野菜・果物・豆・きのこ・芋・海藻などに多く含まれる食物繊維は、LDLコレステロールを減らすのに役立ちます。野菜・きのこ・海藻類は毎食2~3品、果物・豆類・芋類は1日1品を目安に食べるようにしましょう。

LDLコレステロールを下げるには、スタチン系の薬が大活躍!

食事療法や運動療法でもLDLコレステロールが下がらない時には、コレステロール合成阻害薬であるスタチン系の薬剤がよく使われます。スタチンの内服により、LDLコレステロールは20〜50%も低下します。

LDLコレステロールをどこまで下げるかはそれぞれの患者さんの状況(年齢や合併症など)次第ですが、目標値が70mg/dl以下と最も厳しいのは心筋梗塞や重症狭心症を来してしまった患者さんです。

強力なスタチン(ロスバスタチン・アトルバスタチン・ピタバスタチンなど)を使えば多くの場合、LDLコレステロール<70mg/dlを達成することは可能です。しかし、高用量のスタチンを内服してもLDLコレステロール値の低下が不十分な場合は、コレステロール吸収阻害薬(エゼチミブ)を追加するのが効果的です。

スタチンとエゼチミブの配合剤(2つ以上の成分の薬を合わせて1錠にした製剤)もあるので、1粒の錠剤で両者の併用が可能です。

それでも効果が不十分であれば、注射薬(PCSK9阻害薬; LDLコレステロールは20〜30mg/dlくらいまでびっくりするほど下がります)もあります。

ただし注射薬は、冠動脈疾患の二次予防で高リスク病態を有する患者さんや、冠動脈疾患の発症リスクが高い家族性高コレステロール血症の患者さんに使用されるべきものであり、1ヶ月あたり5万円弱(3割負担の場合、月の支払いは16,000円ほど)と高価です。

高トリグリセライド(中性脂肪)血症では、フィブラート系の薬剤が使われます。2018年に発売されたペマフィブラート(パルモディア ®️)は、他のフィブラートに比べて効果が強く副作用が少ないので使いやすい薬だと思います。


野生動物には、高血圧も糖尿病も高脂血症もありません。例えば、ライオンを想像してみましょう。いつ獲物にありつけるかわからず、いつもお腹を減らして常にウロウロと動き回っています。肥満のライオンなんていません。我々人間も、野生動物の暮らしを目指せば、高血圧や糖尿病は克服できるはずです。

でも、分かっちゃいるけど直せない…

「ライフスタイル(生活習慣)」を改善することは、自分の癖を直したり性格を変えることと同じくらい難しいことかも知れません。完璧を目指して80点や90点を狙うのではなく、ギリギリ及第点の50〜60点を取り続けることが大事だと思います。

継続は力(ちから)なり」です。

ちょっとだけで良いので、まずは一歩(いや半歩?)踏み出してみましょう!

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