勉強会を行いました
病院の近くに水城跡があるのですが、今コスモス畑が見ごろとなっています。水城館の上に高台もあり、とても綺麗です。皆様見に行かれた事はありますか。
今回は10月にリハビリ主体で病棟看護師、看護助手の方に勉強会を実施した内容について載せていきたいと思います。
内容は昨年の8月に開催した勉強会に引き続き、関節拘縮についてです。長い時間ベッドで寝ている時間が増え、寝ている姿勢(ポジショニング)が悪いと関節がすぐに固まってきます。そうならないように、関節拘縮の仕組みから、どんな姿勢がいいのか、クッションはどこにどんな物、形がいいのか の勉強会を開きました。
まず仕組みについてです。
関節拘縮とは
関節が柔軟に動かせない為、体が硬い状態になる事。拘縮の種類5つあります。
①筋性拘縮
病気や寝たきりの状態が続く事で筋肉が緊張し萎縮してしまう事。立っている時は身体の前と後ろ、両方で支えているからまっすぐに立つ事ができるように、人間の身体には抗重力筋といって重力に対して姿勢を保つ為に働く筋肉があります。
逆に寝たきりの方は仰向けの姿勢が長いと背中側の筋肉が抗重力筋として過剰に働きます。背中側の筋肉が硬く縮んでしまい、関節が引っ張られます。これにより、膝が曲り、腕が伸び、首、背中が反りかえるのを筋性拘縮です。
②神経性拘縮
神経性拘縮とは脳梗塞などの脳神経系の病気、損傷によって筋肉が異常に緊張、麻痺することで起こります。全身がつっぱってしまう除脳硬直や脳梗塞の片麻痺の方が神経性拘縮です。パ-キンソン病も脳神経系の病気ですが原因が違う為、異なり固縮とよばれます。
固縮・・早く動かそうがゆっくり動かそうが抵抗が変わらない。錐体外路障害
痙縮・・早く動かすと抵抗が強く、ゆっくり動かすと抵抗が弱くなる。 錐体路障害 意志と関係なく筋緊張が高まる。この状態が続くと拘縮となる。(脳卒中)
③皮膚性拘縮
皮膚の熱傷、創傷、炎症などによる 皮膚が弾性を失った状態です。
④関節性拘縮
滑膜、関節包、靭帯などが炎症や損傷による癒着、萎縮したもの骨折などでギブスの固定が適切に行われていない時でも起こります。
⑤結合組織性拘縮
皮下軟部組織と靭帯や腱などの結合組織の病変に起因する.手を酷使が原因で起きる(ばね指)腱膜の収縮で手指が曲がる(デュピュイトラン拘縮)も結合組織性拘縮になります。
①、②が臨床に多いです。
次にどんな姿勢がよいのか
もっとも多い原因の抗重力筋の影響を軽減したもの。
つまり、背中側の筋肉を和らげる姿勢、ポジショニングはどのような姿勢がよいか…それが良肢位(関節、筋肉に負担が少なく済む姿勢)です。良肢位は関節の部位によって角度が変わってきます。
良肢位
・肩関節外転10~30度 脇を開けた状態・肘関節屈曲90度
・肘を90度曲げた状態
・前腕回内・外中間位 お腹の上に置いた状態
・手関節背屈10~30度 手の甲の向きに少し曲げる 手指はボールを握る形
安全肢位 拘縮を起こさない肢位
機能肢位 関節が動かなくなった場合、最低限機能する肢位
・股関節屈曲10~30度 内旋外旋中間位 外転10~15度
・膝関節屈曲10~20度 限界まで伸ばした状態から、軽く10度~20度曲げた状
態。
・足関節背屈、底屈0度 つま先が真上になった状態 尖足(せんそく)予防
色々細かく各関節ありますが、まとめると
肘90度 足首0度 残りすべて10度となります。
とくに膝は10度で十分です。過剰に屈曲されてしまうと、かえって拘縮が進行してしまいます。
これらの事をふまえて
ポジショニング、クッションをどう配置していくのかを考えた時に
拘縮が進行しクッションを入れる事があっても、点で支えず、面で支え隙間を埋めていく事が大切です。拘縮の進行程度で一人一人クッションが変わります。
例として今回は拘縮がないが寝ている時間が長い方向では
・足首が0度になるように足裏にクッションを置く。正方形のクッション2個。
・膝裏にはクッションを置かず、リクライニングの角度で対応。大きいクッションは拘縮を進行される要因です。
・横を向く時用に背中に抱き枕があれば楽になります。
・肘は90度曲げておく
一人一人拘縮がある方や麻痺側、骨折等でやり方が変わります。どんなクッション等がいいのか看護師、担当リハスタッフに聞いて頂くといいと思います。
以上が10月に行った勉強会の内容でした。また引き続き運動の仕方など載せていきます。