嚥下体操ってどんな効果?
今回は当園での嚥下体操についてお話したいと思います。
嚥下(えんげ)って何?って思われる方もいらっしゃるいらっしゃると思いますが、嚥下とは「飲み込み」のことです。舌やお口の周り、首などの筋肉を使って、食べ物や飲み物をのどの方へ送り込んで、のどを通過した食べ物をさらに食道へ送り込む一連の動作の事を言います。
嚥下体操は、そのために必要な筋肉の体操です。
お食事する時やだ液などを飲み込む際には、舌、のどなどのお口の筋肉を使うんだなって普通は思いますが、実はからだの筋肉も大きく関係しているんです。
食べる動作を思い出してみましょう。
まずは目で食べ物を見て、箸やスプーンを持ちます。次に手を伸ばして食器をつかんで、食べ物を取って、口まで運びます。この時、手だけではなく、頭を支える首や肩、腕の筋肉がスムーズに動かす事で食事を取る事が出来るんです。
後は食べる際には姿勢も大事な要素の一つです。適切な姿勢を保つことが難しいと、誤嚥のリスクが高まります。誤嚥とは、本来食道に行くべき食べ物が誤って気管に入ってしまうことです。
「誤嚥性肺炎」は、誤嚥により食べ物が気管に入り、肺が炎症になることが原因で起こります。70歳以上の肺炎患者の7割以上は誤嚥性肺炎であり、いかに高齢者に身近な病気であるかわかります。誤嚥性肺炎による死亡者の中心が85歳以上の男性と90歳以上の女性であると言われています。
万が一誤嚥してしまった場合、しっかりとむせることができると、気管に入ってしまった食べ物を吐き出すことができます。
嚥下体操を続けていくことは、食べるための筋肉のトレーニングだけではなく、笑顔をつくることや、楽しくおしゃべりをすることにもつながります。 これは、使っている筋肉がほとんど同じためです。筋肉は、動かすほどリハビリになり、食事や表情、発音の改善にもつながります。
嚥下体操を実施する一番よいタイミングは、お食事の前です。
嚥下体操によりお口やほほなどを動かすことで、だ液がよく出るようになり、飲み込みやすく食べやすくなりますので、誤嚥を防ぐことにもつながります。
さくら園では食事前に姿勢を正して首、肩周囲、表情筋や舌の運動、パタカラ体操と呼ばれる発声しながら口を動かす、「嚥下体操」を行っています。
毎食のいただきますの前に「嚥下体操」を取り入れて、利用者さんの誤嚥を防ぎ、日々の食事を楽しく過ごせるようにしたいと思います。